江戸時代後期2Kmメッシュ民家数の作成

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江戸時代後期の武蔵国と相模国の民家数を2Kmメッシュでビジュアライズした「江戸時代後期2Kmメッシュ民家数」を作成してCARTOで公開しました。

そこで、データの作成からCARTOによるビジュアライゼーションまで解説します。

「新編武蔵・相模国風土記稿 村データ」の作成
江戸時代後期に編纂された地誌『新編武蔵風土記稿』『新編相模国風土記稿』(以降『風土記稿』)には、各村について様々な事項が記載されており、その項目の一つとして民家数があります。そこで、国立国会図書館デジタルコレクションで全文が公開されている『風土記稿』を用いて村毎の民家数のデータを作成しました。
地図を用いたデータビジュアライゼーションには位置情報が必須です。
『風土記稿』には、当然のことながら村の緯度経度は示されていません。村の位置について記述した「臺村ハ郡ノ南方ニアリ民家二十八軒東ハ川向青戸ノ二村及ヒ南ヘカヽリテ寺山村ニ接シ西ハ白根ニテソレヨリ北ヘハ久保小山ノ二村ナリ」のような文章を読み、臺村は現在の横浜市緑区台村町であると比定します。『風土記稿』に書かれた3,800以上の村について、このようにして現在の地名を比定しました。
緯度経度は、東京大学空間情報科学研究センターが提供するCSVアドレスマッチングサービスを使用して現在の地名から取得しました。
作成した新編武蔵・相模国風土記稿 村データ(以降、「村データ」)はLinkData.orgで公開しています。
また、江戸後期 武蔵・相模国 村名マップでもこのデータを使用しています。

地域メッシュデータの作成
統計やビジュアライゼーションに用いられる標準地域メッシュには、1辺が約10kmの2次メッシュ、1辺が約1kmの3次メッシュなどの種類があります。
今回は、村はポリゴンではなくポイントデータで表していることと、ポイントの分布密度から、2次メッシュでは粗すぎるが3次メッシュでは細かすすぎると判断し、3次メッシュ区画を2倍にした(1辺が約2kmの)2倍メッシュを用いることにしました。
ところが、2次メッシュや3次メッシュはオープンデータとして提供されたシェープファイルがありますが、2倍メッシュでは見つかりません。そこで、QGIS用のプラグインJapanMeshを用いて作成することにしました。JapanMeshは2次メッシュを10等分して3次メッシュを作成する機能がありますので、プログラムを少し改造して2次メッシュを5等分して2倍メッシュを作成できるようにしました。

CARTOによるビジュアライゼーション
「村データ」はCSV形式に変換し、先頭行のカラム名をアルファベット表記に変更してCARTOにアップロードします。2倍メッシュのシェープファイルは、ZIPファイルにまとめてからCARTOにアップロードします。「村データ」はfudokiko_data、メッシュはmesh2kという名前とします。
以下のSQLを用いて、メッシュとその各区画における民家数を取得します。

SELECT m.* , SUM(f.houses) AS houses
FROM mesh2k m, fudokiko_data f
WHERE ST_Contains(m.the_geom, f.the_geom)
GROUP BY m.cartodb_id

ST_Contains()関数を用いてメッシュ区画に含まれる村を抽出し、GROUP BYで区画毎に、SUM()で民家数を合計します。
housesの値によってメッシュ区画の色を変化させるように設定し、タイトルや凡例、選択時のポップアップ表示内容等の細かい指定をすれば完成です。

CARTOの活用 1234