QGISによるサウンドスケープの可視化

里山の豊かな自然が残る公園で収集した音声データを用いて、QGISでサウンドスケープの可視化を試みました。

音声データは地図上の赤い丸で示した61地点で1分間ずつ収集しました。各点は、属性として音圧レベル(dB)のmax、min、average、range(max-min)の値を持っており、ここではaverageの値をラベルとして表示しています。

次に、点のベクトルレイヤから「内挿」によってラスタレイヤを作成します。
QGISのプロセッシングツールボックスには、「IDW内挿(逆距離加重法)」と「TIN内挿(不規則三角網)」があります。今回は、IDW内挿を用います。

はじめに、内挿対象の属性としてaverageの値を用います。IDW内挿では「距離係数(P)」を指定する必要があります。デフォルト値は2ですが、今回は3とします。

領域、出力ラスタサイズ、出力レイヤを指定して「実行」ボタンをクリックすると、作成したラスタレイヤが表示されます。

これでは良く分からないので、レイヤのプロパティで「レンダリングタイプ」を「単バンド疑似カラー」に変更し、音圧の低い方から高い方へ向かって、青から赤へと色が変化するように設定します。

背景地図が透けるように不透明度も調整した結果は、以下のようになりました。

データを収集した日はアブラゼミが盛んに鳴いており、音圧レベルの高い場所はセミがうるさかった場所とほぼ重なります。休日だったこともあり、東側ではセミ以上に子供達の声が大きかった地点もありました。
北西から西にかけての針葉樹が多い地域では比較的セミの声が少なかったため、音圧レベルが低くなりました。公園の外周には自動車も通る道があり、自動車の音によって少し音圧レベルが高くなった地点もあります。

「ラスタ」→「抽出」→「等高線(contour)」で等高線も作成して表示すると、さらに見やすくなります。

次に、averageに代えてrange(max-min)の値を用いてIDW内挿を実施し、前回と同じように表示スタイルを変更しました。等高線は表示していません。

averageにより可視化したときとはかなり様相が異なっています。北と西にrangeの値が大きい場所がります。ラベルに表示したaverageの値は大きくありません。
これは、セミの声が少なく比較的静かな場所で、時々大きな音がしたということを表しています。その音源は、カラスを主とする鳥類の鳴き声でした。一方、セミはずっと鳴き続けているため、セミのうるさかった場所ではrangeは小さくなっています。

今回はアブラゼミの鳴き声が真っ盛りでしたが、秋の虫の鳴く頃や、冬の静かな時期のデータを可視化すると全く異なる結果が得られると思います。四季によるサウンドスケープの変化も可視化できればと思います。