QGISによるデータ分析(9)

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新編武蔵風土記稿のデータ分析

江戸時代後期に編纂された地誌『新編武蔵風土記稿』に記載された3,000を越える村々の位置を比定したデータが公開されています。
新編武蔵風土記稿・村名データ http://linkdata.org/work/rdf1s4025i
今回は、このデータをQGISで分析します。

LinkData.orgで公開されているデータをQGISに取り込むには、LinkData.org用QGISプラグインをインストールして使用すると便利です。
QGISの「Web」メニューから「GetLinkData」→「LinkData.orgからデータを取得する」を選択し、ダイアログボックスの「データセットのID」に「rdf1s4025i」と入力して[選択]ボタンをクリックし、「ファイル」「緯度」「経度」のドロップダウンリストに値が入ったら[OK]ボタンをクリックします。

musashi_fudokiレイヤが追加され、江戸時代の村の位置に点がプロットされます。タイルレイヤプラグインを使用してOpenStreetMapを背景に表示すると、埼玉県と東京都のほぼ全域と神奈川県の一部に分布していることが分かります。

東部には村が多く、西部では疎らなことも分かります。
「ラスタ」メニューから「ヒートマップ」を選択してヒートマップを作成すると、荒川とその支流の流域、多摩川流域にホットスポットを確認することができます。

村の分布密度について、二次メッシュでも分析してみます。
二次メッシュのポリゴンデータはGIS沖縄研究室のページからダウンロードすることができます。
ダウンロードしたmesh2R.zipファイルを解凍し、mesh2R.shpファイルをQGISに読み込みます。
mesh2Rレイヤの塗りつぶしスタイルを「ブラシ無し」に変更し、musashi_fudokiレイヤの大きさを「1.0」、アウトラインスタイルを「ペン無し」に変更すると、以下のようになります。

次に、メッシュ内の村の数をカウントします。
「ベクタ」メニューから「解析ツール」→「ポリゴン内の点…」を選択します。

「入力ポリゴンベクタレイヤ」に「mesh2R」を、「入力ポイントベクタレイヤ」に「musashi_fudoki」を選択し、出力シェープファイルの名前に「mesh_fudoki」を指定して[OK]ボタンをクリックします。
作成されたmesh_fudokiレイヤの属性テーブルを見ると、一部においてPNTCNTに値が入っていますが、多くはNULLになっています。mesh_fudokiレイヤは日本全国を網羅しているため、旧武蔵国を含まないメッシュではNULLになります。

mesh_fudokiレイヤのスタイルを、「PNTCNT」カラムによる段階的な塗り分けに変更し、透過性を設定します。

musashi_fudokiレイヤをmesh_fudokiレイヤの上に移動すると、以下のような結果が得られます。

荒川とその支流の流域、多摩川下流域に村の数が多いメッシュを確認することができます。

新編武蔵風土記稿・村名データには、「郡」の情報も入っています。そこで、江戸時代における郡と現代の行政区画を比べてみることにします。
この場合、村を点で表していては分かりにくいので、ボロノイポリゴンを作成して面で表すことにします。
「ベクタ」メニューから「ジオメトリツール」→「ボロノイポリゴン」を選択します。

「入力ポイントベクタレイヤ」に「musashi_fudoki」を、出力シェープファイルの名前に「musashi_voronoi」を指定して[OK]ボタンをクリックします。

musashi_voronoiレイヤのスタイルを、「郡」カラムの分類による塗り分けに変更し、透過性を設定します。境界線は細い白の点線にします。

タイルレイヤプラグインを使用して国土地理院の白地図を背景にすると、以下のような地図が得られます。

各村のポリゴンは点データから計算で得られたものですので、江戸時代の村の範囲を表すものではありません。また、もともと点データのない武蔵国の外では全く意味のないものです。しかし、この地図からも多くのことを知ることができます。

東京都町田市と神奈川県横浜市・川崎市の境界は複雑な形をしていますが、これは江戸時代における多磨郡と都築郡、橘樹郡との境界を引き継いでいることが分かります。

東京都に入間郡の飛び地があり、埼玉県に多磨郡の飛び地があります。この経緯は『新編武蔵風土記稿』に書かれています。

江戸時代に横見郡に属した村々は吉見町になっています。しかし、現在の吉見町は比企郡に属しています。

江戸時代に書かれたテキストも、位置情報を付与することによってGISで分析・可視化することが可能になります。『新編武蔵風土記稿』には、定量的に分析可能な情報が多く記されているため、データ化して現代に活かしたいと思います。

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